屋根塗装における縁切りの目的は?必要・不必要の基準も解説

「縁切り(えんきり)」や「タスペーサー」という言葉を聞いたことはあるでしょうか?どちらも初めて聞く言葉という方がほとんどかもしれませんが、屋根塗装を依頼するとこの2つの言葉をよく聞くようになります。そこで今回は屋根塗装と縁切りについて、縁切りとは何なのか、屋根塗装とどういった関係があるのかなど詳しく解説します。屋根塗装を考えている方、しばらくは考えていない方も参考にしてください。

縁切りとは?

縁切りは、「スレート屋根」の塗装を塗り替える際に、塗料(塗膜)によって屋根材の重ね目がふさがったものを切って隙間を作る作業です。

スレート屋根とは?

スレート屋根(スレート瓦)は、屋根材の一つです。セメントを主成分とし、5㎜ほどの厚さで、薄い平らな板のような屋根です。地域や商品名などにより、コロニアルやカラーベストなどさまざまな呼び方があります。

縁切りはどんな作業?

スレート屋根は、屋根の傾斜に合わせて重ねられ、雨がうまく下へ流れていくようにできています。重なりの部分に隙間があり、通常はその隙間から雨水が流れていくのです。しかし、塗装をした場合、塗料で隙間がふさがれると雨水が内部にとどまり、屋根の下にある防水シートや釘が腐食したり雨漏りが起きたりという事態になります。これを防ぐために 「縁切り」をします。縁切りは、カッターなどで塗膜を手作業で切り、隙間を作っていく作業です。

縁切りは絶対に必要?

縁切りが必要か不要かについては、屋根の素材や屋根の勾配・塗装の方法で判断します。素材で見ると縁切りが必要なのは、「スレート屋根」のみです。その他の屋根材は、基本的には、縁切りは必要ありませんが、ガルバリウム鋼鈑の中には一部縁切りが必要なものもあります。勾配があまり急でない屋根の場合は、縁切りが必要です。勾配が急な屋根は、雨が流れやすいため縁切りの必要はありません。

屋根の塗装方法は、基本的にローラーを使って塗装するか、吹き付けで塗装するかのどちらかです。ローラーで塗装する場合は、重ね口にも塗料が多量に付着するため、縁切りの必要があります。一方、吹き付け塗装は、薄く均一に塗料がつくため縁切りは不要です。

縁切りの役割

縁切りをする目的は、家の中に劣化の大敵である水分や湿気が入るのを防ぐことにあります。

縁切りをする目的

スレート屋根の隙間がふさがった状態が続いた場合、どんな現象が起きているのかというと、スレート屋根の重なりの狭い部分に水が少しずつたまり、このたまった水に吸い上げられるようにさらに水がたまっていきます。この現象は「毛細管現象」と言われ、屋根の下地を腐らせたり、雨漏りを起こしたりする原因のひとつです。毛細管現象は細くせまい空間を液体が浸透していく現象で、こうした現象を防ぐために縁切りをします。

また、冬になると窓に結露がつくことはよくありますが、縁切りをしない場合、屋根部分に結露が発生します。結露は外と中の気温差があると発生するもので、屋根においても室内の暖かい空気が屋根に届くと、外の気温が低いときはスレート屋根の隙間部分に結露が生じることもあります。結露は屋根下地の腐食につながるため、縁切りは重要であるといえるでしょう。

縁切りが不要な場合

前述したように、スレート以外の屋根材や勾配が急な屋根、吹き付け塗装の場合、縁切りは不要です。さらに、新築後初めて屋根塗装をする場合も縁切りは不要です。新しいうちはスレート瓦の隙間が十分確保されているうえ、新築時にスレート瓦は塗装しません。基本的に縁切りがいるのは、屋根塗装2回目からと考えておきましょう。もちろん、1回目でも縁がふさがってしまうような場合縁切りの必要があります。

そのほか、10年ほど経過し劣化したスレート瓦は先端が反ってしまうこともあります。反ることによって隙間ができるため縁切りは不要となりますが、すべてが同じ症状になるとは限らないため専門業者の判断を仰ぎましょう。

最近の主流のタスペーサー工法とは

縁切りは、カッターなどの工具を使って塗膜を切っていきますが、タスペーサーという器具を使えば手作業で切る必要がなくなります。

タスペーサーとは?

従来行われてきた縁切り作業は、切らなくてもよい塗膜や屋根材を傷つけてしまう、屋根の上を歩いて作業するので汚してしまうといった問題点がありました。そのため、最近では「タスペーサー」という器具を使った縁切りが主流となってきています。

タスペーサーの利点

タスペーサーは、スレート屋根の隙間に差し込んで使用します。手作業でする縁切りよりもタスペーサーを使ったほうが費用は安くなり、また簡単に挿入できるため施工性もすぐれています。ただし隙間が4㎜以上空いているときはタスペーサーが落下してしまうため、使用できません。

まとめ

「縁切り」は、スレート屋根の塗装を塗り替える際、塗膜によってふさがった隙間を切る作業です。スレート屋根は重なった構造ですが、隙間がないと雨水がうまく排出されないため家の中に水が留まることになります。水分は家全体の腐食、劣化を呼ぶため必要な場合は縁切り、もしくはタスペーサーにより隙間を作ることが大切です。

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